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シナリオ3悪夢からの始まり 敵を全滅せよ
 親父の書斎はデータで一杯だった。俺は悪魔召喚プログラムの周辺データを引き出し、読みふけった。 そして悪魔召喚プログラムが『悪魔会話』『悪魔合体』という背徳的な機能を備えていると知った。自分の召喚プログラムをいじると、確かにそのはたらきがあるようだった。しかしこの機能は親父からリストアームを受け継いだ俺にしか使えないかもしれないと思った。
 新たな機能を解放して、久しぶりにリビングに戻ると母さんの姿がなかった。外には悪魔が出現するかもしれないが、母さんは悪魔の存在など知らない。
「勇二…どこ行ってたの…?」
 焦った俺の背後から、懐かしい声がノイズを伴って聞こえた。
「母さん心配してたのよ…あなたまでいなくなったら母さんどうやって……テ、テ…ア、アアアァァァ……!」
 振り返ると、紺色の狐が尾を振り乱していた。
「母さん!しっかりしてくれ!」
「…ガ……何だ、お前。食われてえのか人間」
「母さんまでそんな…」
 飢えた赤い眼に俺が映っていた。慌てて屋外に転がり出ると牙を剥き出して追ってきて俺を引き倒した。
「う、うわあぁぁぁっ!!!!」
 俺は殆ど狂気のようになって滅茶苦茶に手足を振り回した。
 ゴツン という音を伴い手の甲に何かの手応えがあって、赤いものが混ざった大量の唾液が顔にかかった。タテモノマエは俺に覆い被さるように倒れた。
 毛を掻き分けるようにタテモノマエの下から這って出て、だらしなく投げ出された体躯を見下ろした。
「俺は…母さんを…」
 召喚プログラムを介した通信が入った。満仲渚だった。これまでのできごとを話して聞かせると、どこでも似たようなことが起こっているのね、と渚はむりやり平静を装った。
「なんで俺たちがこんな目に遭わなきゃならない!?」
 いっそ悪魔に食われて化けたのだろう人間の方が気楽なのではないかと思った。
 渚に代わって本当に冷静な男の声が答えた、『力がなかったからだ』と。
『降りかかる火の粉を払うだけの力がなかった。ただそれだけだ』
 俺は呻いた。晴臣のように割り切ることができたら打ちのめされるより先に向上心が立ったのだろう。晴臣は強いのだ。
『個人の力の有無が根本的な解決になるとは思えないけど…それでも確かに今、ボクたちには力が必要なのかもしれないね』
 ええ、と渚が吐息混じりでキルフォートに同意した。『個人の判断と力が必要だと思う』
 二人が神妙に言ったことを反芻した。俺は息子として親父の失踪の理由を知らなければならないが。そのためにはやはり力をつけるしかないのだ、痛みと共に納得した。
『この状況ではプログラムの公表などはできんな』と晴臣がまとめた。
『まずは私たち四人が強くまとまる必要があるんじゃないかしら』
 渚が提案した。悪魔召喚プログラムを持ち悪魔に対抗しうる俺たちが集まって勢力となれば、重大な事態に対応しうるだろう。晴臣がいぶかしんで信じられるのかと問うたが、渚は「私は信じたい」とだけ言った。そして晴臣も承諾した。つまり全員が手を組むことに同意したのだった。
『今の所手がかりは勇二のパパとA.G.Eが関わってるってことぐらいか』
『A.G.Eに行くぞ』
前に見えるのがそこだけならそこへ向かえばいい、と晴臣は言った。彼の言葉はいつも何らかの真理に従っていた。今は薄弱な自分もいつか背筋を伸ばせるのだろうかと思いながら、時間を申し合わせて通信を切った。
しばらく悪魔の亡骸の側で立ち尽くしていたが、未練を振り切るようにA.G.Eのビルへ向かった。

(レベル12)

キルフォートがパパって言った。
今回はタイトルからおかしいですね。しかし勇二はいつまで丸腰なんでしょうか…

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