シナリオ4魔王の闇 敵を全滅せよ
合流した俺たち四人はA.G.Eビルの6階を目指した。6階にはA.G.E研究局長だった親父の研究室がある。俺が初めて悪魔に遭遇した場所だ。
二階に足を踏み入れたときだった。
「素晴らしいね、君たちは」
茶色いスーツの男が出会いしなに俺たちを賞賛した。
「私は岡田昭儀。A.G.Eの広報戦略局長だ」
晴臣は早くも敵意を剥き出した。「…罠か。俺たちは導かれたんだ」
「ふっふっふ、導いたとは言っても並みの人間は突破できない程度のセキュリティは備えていたのだよ」
岡田は俺たちを舐めるように見回した。
「私たちA.G.Eはある計画の遂行のために優秀な人材を探していてね。きみたちは有資格者だよ。プログラムを渡した甲斐があったというものだ」
「ボクたちの持っているプログラムはあなたが送りつけてきたと?」
「その通りだよ。天才の誉れ高いドイツの至宝キルフォートくん。それに類い希なるハッキング能力を持つ満仲くんに、戦国の世から続く名門武家をまとめるカリスマ宗方晴臣くん」
三人は忌々しげに岡田を見つめた。自分たちが岡田およびA.G.Eの手中で踊らされていたことを知ったのだ。
「…お、俺は?」
「…柏木局長の息子、柏木勇二くんか。君は私たちにとってイレギュラーな存在だよ。初見でプログラムを起動し、悪魔とのコミュニケーションまで可能にするのだからね」
岡田は嘲笑混じりに俺を見た。
「流石、このプログラムを作った人間の息子と言うべきかな?」
「親父がこれを!?」
「君の父親は優秀だった。だが多分に人間くさいところを持ち合わせてもいた。そこが使いやすい所でもあり、予想しえない要素でもあった。そして私たちの危惧の通り、彼は独自の研究結果を持って姿をくらましてしまった」
親父の居所はA.G.Eもつかんでいない。親父は死んだ訳ではない。俺は不安を振り払って岡田を睨みつけた。
渚が岡田に目的を問い詰めた。岡田はA.G.Eの計画に参加しろと言った。
「服従か死か。君たちに問うのはそれだけだ」
岡田の背後から悪魔が溢れ出した。俺たちはすぐさま態勢を整えた。
予想以上だ、と岡田は言った。
「しかし少しやりすぎた。君たちには少々教育が必要かもしれないな」
今度は岡田が二つに割れた。
岡田から現れた悪魔は燃え立つように赤く強大な魔王、ベリアルだった。
「この人も悪魔に乗っとられていたの!?」
「私は乗っ取られているのではない。自らその身を差し出したのだ」
ベリアルは地獄の底から響くような声で俺たちをあざわらった。そして、
「囚われの身となって、己の浅はかな思想をくいあらためるのだな!」
ベリアルが三又矛を掲げると目の前が真っ黒になり体が動かなくなった。俺は悲しいとか悔しいとかじゃなくただ、痛い、とだけ思った。 やがてすべてが遠ざかっていった。
(レベル14)
ベリアルさまウヒョー。キルフォートエティエンヌじゃないですか。
いやー物語が動き始めるのが早いですね
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